ドイツ通信42「ドームネズミ」


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ドームネズミ

 

 日本で魔除けと言えば何でしょう?節分の柊鰯とか、社寺のお札などでしょうか。“魔や災い”というのは、降りかかって欲しくはないけれど、有難い事に“入り口”で防ぎ止めれば侵入はしない、と考えていいようです。玄関、入り口というのは、やはり建物の中と外を結ぶ重要な地点なのですね。

 

 さて、ブレーメンのシンボルとも言うべき大聖堂=ドーム。大きな大きな教会で1200年の歴史を持っています。このドームが実は小さな小さな動物によって守られているのです。それがドームネズミ。中世にはネズミは魔除けのシンボルであり、入り口、とくに教会の内部へ一歩足を踏み入れる、その地点に“居る”ことが多かったようです。

 

 このドームのネズミですが、知っている人に連れて行ってもらって、指し示してもらわなければ絶対に気がつかない場所にいます。スポットライトが当たっている訳でもなく、矢印で居場所が示されている訳でもなく、案内板がある訳でもなく、人だかりが出来ているわけでもなく。ただでさえ暗い教会内部ですから見つけるのは一苦労。(私も1年間知りませんでしたし、今年5月に友人に“ドームにはネズミがいるよ。奥の方。探してごらん”と言われ、一度あちらこちらと見渡してみましたが、見つからず、それっきりにしていました。今回、新しく用意された見学客向けのプリントに、ネズミの場所が示されているのを見つけ、それでネズミがやっと発見できた次第。)

 

 実際どこにいるかというと、西側正面入り口から見て一番奥にいます。東の内陣、向かって右側の扉の柱の根元に後ろ足で立ち、前足で柱にもたれたような姿で。11世紀後半からずっとドームにいるのです。でも・・本来入り口に存在するべき魔除けが、建物の一番奥に存在するのはおかしい!と感じるかもしれません。これには訳があり、東の内陣の扉はもともとは西正面玄関の扉だったのだそうですが、1220年頃、西側正面玄関が2つの塔と共に新しく設置されたのに伴い、東の内陣に移設されたとのことです。

 

ちなみに、このとき作られた西側正面玄関扉が、現在の扉ですが、柱にネズミはいません。一建物に付きネズミ一匹の決まりでもあるのでしょうか、それとも、古参ネズミに配慮したのでしょうか。

 

 ネズミの立ち上がった姿が不自然だなあ・・と、最初に見た時には思いましたが、もしかしたら、全身で「ドームの柱、しかも一番重要な玄関の柱を支えている」の図だと理解していいのかもしれません。また、嫌悪されることが多いネズミの存在ですが、プラスな面も持ち合わせているのですね。“ドイツ(ブレーメン、もしくは北ドイツ)におけるネズミ”について調べてみると面白い事が分かるかも・・。

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