ドイツ通信41「ヴォルプスヴェーデ・・・芸術家の集う村」


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ヴォルプスヴェーデ・・・芸術家の集う村

 

 芸術を志す人はパリを目指す。美術音痴の私でも、多くの芸術家、特に画家がパリに集った事は知っています。印象派からエコール・ド・パリ・・。パリに関わりのある画家を挙げると、ポール・セザンヌ、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アンリ・マティス、ジョルジュ・ルオー、アンドレ・ボーシャン、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラック、モーリス・ユトリロ、マリー・ローランサン、アメディオ・モディリアニ、ジュール・パスキン、マルク・シャガール、モイーズ・キスリング。聞いた事のある名前ばかりです。

 

 でも芸術の都パリにも勝るとも劣らない?村が、ドイツに、しかもブレーメンから北東20キロほど離れたところにあります。ヴォルプスヴェーデという村です。そこに集った芸術家を挙げてみましょう。フリッツ・マッケンゼン、オットー・モーダーゾーン、フリッツ・オーバーベック、パウラ・モーダーゾーン・ベッカー、ハインリッヒ・フォーゲラー、ライナー・マリア・リルケなど。

 

 知っている名前はありますか?詩人リルケの名前は有名かもしれません。ここには、画家のみならず、詩人や建築家などあらゆる分野の芸術家が、都市の喧噪をから逃れて移り住み、田舎の素朴な風景の中で親交を深め、制作活動を行いました。

 

 ブレーメンでは、フリッツ・オーバーベック、パウラ・モーダーゾーンは特に良く知られている(というより常識の域?)のではないでしょうか。彼らの名前を冠し、作品を多く所有する美術館があります。また、先日にオットー・モーダーゾーン、フリッツ・オーバーベック、パウラ・モーダーゾーンら、同時代、同じ場所で過ごした仲間の絵画を、併せて展示する特別展も開かれていました。

 

 さて、なぜ私が、ヴォルプスヴェーデのことを持ち出したかと言いますと、大聖堂ミュージアムにて、10月末まで特別展「GEIST GLAUBE KUNST DER RELIGIOESE BLICK WORPSWEDE 1882-2009」(「精神・信仰・芸術 宗教的視点から ヴォルプスヴェーデ1882-2009」が開催されているからです。彼ら芸術家のヴォルプスヴェーデでの生活の中心には教会があり、彼らはキリスト教的モチーフを自分なりの解釈で作品の中に取り込んでいます。生活の中に自然があり、信仰があり、芸術があった、その生活を“宗教”と(少し)絡めつつ紹介しよう、と言う主旨なのでしょう(恐らく)。彼らが好んで題材とした風景画と共に、キリスト教モチーフの絵画も展示されています。

 

 自然に囲まれた田舎のヴォルプスヴェーデを世界的に有名にしたのはミュンヘンのガラス宮殿で開催された展覧会でした。フリッツ・マッケンゼンの„Gottesdienst im Freien“という作品が、金メダルを受賞した事で、ヴォルプスヴェーデとその地の芸術家協会の名は、世界に知れわたる事となったようです。

 

しかし、ヴォルプスヴェーデ芸術家協会の盛期は長くは続かず、それぞれが別々の道へ・・と時間は流れていったようです。

 

 面白いエピソードが紹介されています。「パウラ・モーダーゾーン・ベッカーとクララ・リルケ=ウェストホフが、悪ふざけをして教会の鐘を意味もなく鳴らしてしまい、消防車が出動する騒ぎになったことがあった。その罪として芸術家全員に100マルクの罰金が科されたが、彼女らはお金が無く払えなかったため、償いとして教会内部の柱上部に絵を描いた」と。彼女らの描いたその絵は今ももちろん残っているようです。こういうエピソードは、自分が歴史の延長に居る事を実感させてくれます。機会があればヴォルプスヴェーデにも出向いてみます。

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