換気とカビ


かつて日本の住宅で圧倒的シェアを持っていた伝統的な土壁工法に対抗するため、ハウスメーカーが営業努力を重ねた結果、こうなったのか、それとも、ユーザーが冬の快適さを求めすぎたためこうなったのか、とにかく、今の住宅建築事情は大工にとっても建て主にとってもひどい状況と言わざるを得ない。世界一を求める日本人の勤勉さが今の状況を招いたのかもしれない。

埃かと思ったらカビだった

埃かと思ったらカビだった

天井換気扇カビで詰まっている

天井換気扇カビで詰まっている

国はハウスシッックの対処療法として住宅に換気扇を強制的に取り付ける法律を作った。それも、24時間止めてはならない。部屋の中に有害ガスがたまって危険だから。 この法律ができて喜んだのが電機メーカーであるすべての住宅に換気扇が最低でも5個以上設置されるのである。この特需に向けて新機種がどんどん開発された。せっかく高気密高断熱にしたのに換気扇で空気がどんどん入れ替わったのでは熱が逃げてしまって意味がない。そこでできたのが給排気する換気扇である。あるいは換気量を計って吸気と排気の換気扇を別々に付けたり、熱交換機付きの換気システムを開発した。

理屈で言うとすばらしいが、実際は、フィルターがすぐ詰まる、ダクトの中にかびが生える。等の苦情続きだった。夏生えたカビが冬乾燥して細かい粒子になる。一本のダクトで給排気を交互に繰り返す機種などは最悪である。吸気するたびに部屋中にカビをまき

散らしてることになる。目で見えないから住んでる人は知らないだけで、いつの間にか喘息になったりしているのだ。この工法の先進国北欧の国ではダクトの中を毎年掃除するよう義務づけたそうであるが、日本のハウスでは天井裏や床下、壁の中に人が入れないのでそれは不可能である。つまり、そういう家を建ててしまったらもう後戻りできないということになる。そんな説明は建てる前に聞きたかったと言うのが現状だ。

Top