断熱とシックハウス


特に子供には影響大

特に子供には影響大

最近の家はとても断熱性がよくなった。断熱材の所為もあるが、家を隙間なく密封するようになってからだ。

クーラーもよく効くし夏は外気の影響を受けにくく、冬は内部の熱を外へ出しにくい。エアコンがあれば、一年中一定の温度を保つ事ができる。古来、日本の住宅は夏の暑さをしのぐのを基本として建ててられてきた。かつて電気のない時代は、冬の暖は炭火や薪、綿入りの衣類や布団などを着込むことでしのげたが、夏の暑さをしのぐのは家の構造に頼るしかなかったのである。電気設備で温度が下げられることが分かると、今度はその冷気を逃がさない工夫が必要になった。いったんそういう方向へベクトルが向くと、競争社会も手伝ってどんどん断熱性能を上げていくこととなった。

断熱壁も、50㎜から100㎜200㎜とエスカレートし、北海道で見た住宅では、五重サッシなんてのもあったくらいである。ところがここで問題が起こった。断熱性と共に、家の機密性まであげてしまったため、室内の空気が自然には入れ替わらなくなったのである。そのため、家の中で発生する湿気、匂い、その他あらゆる不純物(人間にとっての)部屋にたまったままで、人間の健康にも害を及ぼすようになってしまった。特に問題になったのが、ホルムアルデヒドという、住宅建材に含まれるホルマリン系の化学物質であった。

ハウスシックと言う言葉と病名はここから発生したのである。ベニヤ板と呼ばれる合板を張り合わせるのに使った接着剤がその主犯である。大工見習いの頃は、毎日、押入の中にこのベニア板を張るのが主な仕事だったが、張り終わる頃には、目はチカチカ鼻はずるずる、息苦しくて吐き気がしそうだった。いかに体に悪いかは歴然である。いまでも、新築のアパートに入ったら、アトピーがひどくなった、喘息になった、と言う話が後を絶たない。本来、住む人の健康と財産を守るはずの住宅が何故こんな事になってしまったのだろう。(続く)

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