棟上げ2「家は人が造り、家が人を創る」
組み立ても三日目四日目になると形ができあがってきます。こういう建築は今ではもう滅多に見ることが出来ません。10年ぐらい前までは、田舎では、こういう建築が多かったのですが、建築基準法改正以来、本来の日本建築は建てにくくなってしまいました。
国が基準を作るとき、アメリカの外圧に圧されたとも、ハウスメーカーの献金圧に屈したとも言われています。いつか元に戻るのか、それともこういう日本建築は廃れてしまうのかわかりませんが、2000年培ってきた、木造建築技術だけは廃れて欲しくないモノです。
屋根のラインをいかに美しく見せるかと言うことに、しのぎを削ってきた大工の美学が今は、懐かしくなるほどです。差し棟木から杓子蟻、二重裏甲、眉縁裏板納め、蓑甲板張りとかみしめるように、仕事をしました。
家を建てることは、施主にとっては一世一代の大仕事でした。大工、親戚、縁者みんなが助け合って、一つの仕事を成し遂げたのです。人は、喜びも、試練も分かち合うことによって、乗り越え成長してきました。そういうモノを避けて通る今の風潮は、人が育っていく機会を少なくしているのかもしれません。最近のニュースを見ていると、大人になっても、心の中は未熟なままの人が多いようです。
家は人が造りますが、家もまた、人を造るのです。