ドイツ通信22「ブレマーの正体」


2009050407 2009050408 2009050409前回に引き続きコン不思議なシステムの紹介です。日本ではあまり見かけないこのシステム。何なのでしょう。愛は地球を救うじゃないけど、もしかして、新しい世界が始まっているのかも。単なる物々交換じゃありません。人間が生きているという、価値は、上も下もない、同じなのでしょうか。あまりに私たちは、効率という概念に支配され、すべての活動を、お金に換算しすぎてきたのかもしれません。原点に返るというのはこういうことなのでしょうか。ショックを受けました。(親方)

交換だけで機能する組織

 

 授業でこんなことを習いました。

 

 Heidemarie Schwermerという女性についてです。彼女はもともと心理学者。ですが、1996年、何を思い立ったか?財産を全部処分して、お金と使わない「交換」での生活を始めたそうです。例えば、屋根の修理をする代わりに、宿泊させてもらう。子どもの面倒を見る代わりに食事を提供してもらう。電車に乗りたい時は、知り合いに電話をかけ、持参認識式チケットの所持者に援助を仰ぐ・・などなど、という生活です。なかなか想像できませんが・。

 

(この生活についての書籍などを出版しているようですので、今現在無職&収入があるのかないのか不明です)

 

どうやら日本語にも訳されているようです。

 

邦題「食費はただ、家賃も0円!お金なしで生きるなんてホントは簡単」。

 

 

 同時に、ブレーメンにもこういう「交換」をし合っている団体がいる情報を得たので、訪問する事にしました。興味津々で。その団体「BremenTauscht」について紹介します。

 

 2005年に立ち上がった、物々交換で成り立つ組織です。ドイツにある他の物々交換団体とも交わりながら活動しています。現在会員は130人ほどで日々会員数は増えています。基本的に分野・領域を超えて誰でも参加できます。つまり自分の得意分野と相手の得意分野を“交換”し“助け合う”ことで機能しています。

 

 この交換に“現金”は動きません。通貨は“ブルーテン”という特別な通貨単位。各自の働きの報酬やサービスの価値は“ブルーテン”で計算されます。特徴的なのは、“時間計算”がなされるということです。5分が1ブルーテン。1時間で12ブルーテン。どんな働きをしようとも、その長さで得られるブルーテンも払うブルーテンも決まってきます。

 

参加者は各自、“時間口座”を開設し、ブルーテンの収支をこれで管理します。つまり、2人の人間による相互のサービス交換が不要だという事です。

 

例えば、ウォルフガングさんはペトラさんの引っ越しを2時間手伝い、24ブルーテンを得る。ペトラさんはガービーのために美味しいケーキを焼いて1.5時間と使い18ブルーテンを稼ぐ。ガービーはヘルマンの依頼でテキストのタイピングを行い、4時間費やし、48ブルーテン・・というような具合に輪になってサービスの交換をし合います。

 

 この組織は、各参加者による 1交換に付き1ブル−テンの寄付と、現実的な寄付(義務でない)により運営され、毎月の会報誌が発行され、ホームページが機能しています。また、定期的に開かれる総会にて各決定がなされています。

 

また、支払うブルーテンが無い場合に機能する“共同口座”なるものもあります。

 

 経済的弱者や無職の人間でも、働くチャンスや社会との結びつきを得る事ができ、可能性や能力を切り開ける。意義深い組織・・ということです。

 

 

 さて、実際どんなサービスが受けられるのでしょうか。カテゴリーは実に多岐にわたります。

 

サービス全般、運転代行、料理、コンピューター関係、各種(語学や教科、趣味)等のレッスン、庭仕事などなど。一人でいくつもの範囲の働きをする事もできます。これら参加者の情報が会報誌に一覧になっており、見つけて依頼するのです。

 

 料理を提供する際の材料費、車を出してもらう際のガソリン代、交通費・通勤時間などは、双方で事前に話し合い、実費で支払う、追加のブルーテンを支払うなど取り決めておきます。また、時間口座に貯蓄・借り入れできる総額も決まっているようで、“富の一方的な蓄え”は不可能。同様に、サービスを一方的に受けるだけ “受け身会員”も防ぐシステムになっています。

 

 

 ブレーメンの会員同士の“交換”だけでなく、他都市の会員との交換も可能だし、急ぎの場合は“メール配信”によりサービスの受け手を募るなどの方法もあったり、今後は、手作業で行われている各自の時間口座からの収支計算をコンピューターに行わせるなどのプログラムも開発中とか。

 

 

 ただ一つ(個人的な)懸念事項。同じ得意分野で、「仕事が丁寧で遅い」人と、「スピード自慢。でも仕事はそれなりにしっかり」の人では、報酬のブルーテンに差がでてきますよね?支払う方も、同じサービスのはずなのに「以前ギーゼラさんに頼んだ時は、1時間で済んだのに、ヘルガさんに頼んだら2時間もかかったわ」なんてこともあり得る訳です。文句は出ないのでしょうか?(こういう素人でも思いつく懸念事項はとっくに総会で話し合われているはずなので、きっと上手く機能しているのでしょう。)。

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