ドイツ通信33「ブレーメンのバス広告キャンペーン」


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宗教関連広告はOK?それとも?

日本ではというより、滋賀のローカルな話ですが、近江鉄道の電車には、全面広告がしてあって、面白いなと思っています。電車自体が古いので、塗り替えしなければならない事情があったと思うのですが、うまくリユースしているなあと思います。さて今回は、

 5月20日から24日までブレーメンにて第32回ドイツ・エバンゲリッシュ・キルヒェンターク(Deutscher Evangelicher Kirchentag)が開かれました。2年に一度ドイツの各都市持ち回りで開催されるプロテスタントの大イベント。ブレーメンを訪れた人の数は40万とも50万とも。プロテスタント系の教会、関連組織の力の入れ様は半端なく、このイベントの影響で、バスやトラムの運行時間や路線は変更されるし、各宿泊施設は一年も前から予約で埋まるし、道路は渋滞するし、街は人で溢れるし、とイベントと関係のない人までも巻き込む、街をあげてのイベントでした。

 

 このイベントと時期を合わすかのように、今年の3月からドイツ連邦全土で行われている(た)のが「バスキャンペーン」。いったいどんなキャンペーンかというと、車体への宗教関連広告(信仰関連も無信仰関連も)を掲載したバスを走らせ、こういった広告を認めようというキャンペーンです。4月初頭の段階では、ブレーメンのバス・トラムの交通機関会社は、ケルンやミュンヘン、ベルリンと同じように、このキャンペーンに「No」と回答したそうです。

 

 はっきりいって、このキャンペーンとキルヒェンタークの開催。何とも妙な取り合わせです。(この組み合わせを体験したのはブレーメンだけ)。イギリスやアメリカ、スペイン等ではこういった広告が認められているにも関わらず、ブレーメンの交通機関会社が「No」を唱えたことには、いろいろな推測がなされました。

 

 それは、“もし、キャンペーンに参加し、車体に「Es Gibt Keinen Gott」(神など存在しない)などという広告がデカデカと描かれたバスが街を走ったとしたら?キルヒェンタークで世界各国からこのイベントを祝うために訪れるプロテスタントの信者はどう感じるだろう?? 驚くに違いない。問題が起こるかも。”ということ。だから、「No」だったのだろう、と。

 

 写真はキルヒェンタークの広告です。これは問題にならないのか?とも思いますが、これら広告は「キルヒェンタークの開催を知らせるだけ」の広告なのです。信仰とはいっさい関係のない、「イベント告知」。ですから、イベントのモットーである聖書の一文「Mensch, Wo bist du?」にはもちろん触れられていません。

 

 確かに、その通りです。ですから、キルヒェンタークが終了するまで、このキャンペーンはブレーメンでは始まりませんでした。

 

 

 そしてキルヒェンタークが終わった・・と思いきや、それを待っていたかのようにバスキャンペーンが始まったようです。ブレーメンでも有神論者と無神論者双方の立場の広告が車体に描かれたバスが登場しています。信仰のある人と、無信仰の人、やはり意見はやはり相容れず、その開始にあたっても活発な討論が繰り広げられたとか。無神論者に言わせると、「政治も時には宗教に左右されている。今回のキルヒェンタークなどでも、プロテスタントのイベントであるにもかかわらず、多額の税金が使われたことは確かだし、あってはならないことだ」と。また、プロテスタント信者でなく、教会とも宗教とも関係のない人間の生活がキルヒェンターク影響を受けたことも指摘しています。今回、無神論者の立場として「神など存在しない」と掲げられていますが、そこには、「クリスチャンが無条件に人間的に価値のあるものと見なされ、無神論者はモラルに欠ける人間とレッテルを張られる風潮があることへ抵抗する」意味があると話しています。

 

いつの時代も、宗教というのは微妙な話題です。宗教を話題にすると意見対立はあるけれど、人間対人間としては非常に“友好的”にディスカッションが行われたと記事は結んでいます。

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