ドイツ通信27「アスパラ」


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アスパラガスを食す

 

 イースターの休暇を過ぎたあたりから目にするようになったアスパラガス。収穫は最盛期!です。道ばたにはアスパラガス専用の露店がでるし、市場でもスーパーもアスパラガスでいっぱい。レストランでもアスパラガス特別メニューが提供されます。食されるのは巨大で、かつ白いアスパラガス。このなんとも見栄えのしない、存在感の薄そうな野菜が、この季節の“主役”であり、ドイツでアスパラと言えば“白アスパラガス”なのです。 

 

 私の白アスパラガスの思い出は「子どもの頃に食べた缶詰の白アスパラガスが、独特の匂いと食感で、生理的に受け付けなかった」というもの。それ以来、白アスパラガスは私の嫌いな野菜であり、でも日本ではあまり食べる機会がないから特に生活に支障がない、という位置づけでした。野菜なのに白い。葉緑素のかけらもなさそう。栄養はあるの?野菜と言えるの?というのが私の疑問であり不満でした。

 

 さて、そんな私がアスパラを食すツアーに参加。この歳になって、特に白アスパラガスへの嫌悪感はありませんでしたが、やはり少しドキドキ。

 

 出て来たアスパラの巨大な事、巨大な事。売られているアスパラを何度も目にしてその大きさには感心していましたが、実際出てくるとなると、なんとも気持ち悪い。見た目から受ける印象は・・しっかり火が通っていてシャキシャキ感のかけらもなく、へにゃへにゃ。食欲をそそる要素が一つも無い。緑の採りたてアスパラなら喜んでかぶりつくのに・・と、マイナスポイントばかり。

 

 

 そして一口・・・。おっ、なかなか美味しい。ソースの味なのかアスパラの味なのかいまいち不明ですが、へにゃへにゃアスパラが口の中で“とろりんっ”って感じでとってもマイルド。苦みも臭みも灰汁もなし。「白アスパラってこんなだったのか」と素直に驚き。(これだけの分量の白アスパラを一時に食したのは初めての事だったと思います)。

 

 ただ食べにくさは満点。繊維が縦に通っているので、ナイフで横に切りにくい。裂いて食べるおつまみチーズのようなあり様になってしまい、うまくナイフに刺さらず、あげくの果てには麺のようにすすって食べることに。(赤面)。

 

 このアスパラガスは溶かしバターかオランディーソース(卵黄とバターで作られたマヨネーズみたいなソース)でいただきます。もちろん、“熱い”まま。付け合わせには燻製ハムかシュニッツェル(本来はハムが主流のようですが、私の訪れたレストランでは両者を選択できました)とジャガイモ。

 

 アスパラガスの収穫は6月24日まで続くのだそうです。白アスパラ・・は盛り土をして大事に育てられるのだということです。それで何となく納得。白アスパラは「あんたはでてきちゃだめ!」と地上に出る事を禁じられた野菜なのではなく、太陽の光線や外の世界の“邪”から土で守られ、“箱入り娘”のように育てられた野菜なのです。そして傷を付けぬよう手作業で摘み取られるそうです。とろけるような優しい食感は、その手間がしっかり味に現れている証拠でしょう。

 

ドイツに春を告げるアスパラガス。見た目は地味ですが、その存在には大きなものがあるようです。

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