ドイツ通信28「セコハンショップOxfam」


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Oxfam Shop

 

 ドイツに住んでいて感じる事。島国では無く大陸の中の一国で、且つユーロ圏であること(外国がすぐ隣で、パスポートコントロールが無い。電車も車も混乱無く乗り入れている)。これを実感するたびに、日本という国が如何に特別な背景を持った国かを考えます。まさに“極東”。東には太平洋が広がる島国。外国=海外。ほぼ単一民族国家。公用語は日本語で外国語の流通度は極めて低い。日本独自の文化、風習を初め、規格などを持つ。・・・などなど。

 

 そして、外国がとても近い、と感じます。ヨーロッパ各国だけでなく、アフリカも近い。ブレーメンでも、たくさんのアフリカ出身の方を見かけます。ナイジェリアやガーナなど出身国は様々で、それぞれ顔つきも異なっています。難民として移民してくるなど複雑な背景を持った人もいると聞きます。私はドイツに来て初めて、これだけたくさんのアフリカの方々とふれあい、かなりアフリカという大陸を近くに感じるようになりましたが、実際、物理的にアフリカは、ドイツからは近い。ドイツから日本へ行くより近い。ヨーロッパから地中海を挟んですぐ対岸。うーむ納得。

 

 

 さて、ブレーメンには「Oxfam」というお店があります。これは、1942年にイギリスのオッックスフォード(Oxford)にあった飢饉(Famine)救済の委員会から生まれた組織で、現在世界13国に国ごとの組織を持っている団体です。世界から飢饉や貧困をなくし、発展支援をすることをその活動としています(支援の対象はもちろんアフリカだけに留まらず、自然災害を受けた国々、武力抗争が耐えない国々など様々。また非営利組織や非政府組織ではなく、いちおう会社のようです)。

 

 この組織が運営するお店が「Oxfam Shop」。いったい何をしているか、というと。「セカンドハンドのお店」です。ブレーメンにはたくさんの「セコハン」がありますが、ここが他と違うのは、商品がすべて寄付されたモノだということ。店の従業員(商品を分類したり、価格をつけたり、売り子をしたり、陳列したり)が無給で働いているということ。そして販売による収益が、“貧困の無い平等な世界”のために使われる、ということです。

 

 この団体の活動意義を汲み取り、賛同する国民、市民が多いからか、商品はきわめて良質。捨て場に困り、ゴミ感覚で持ち寄られたものはありません(店頭に並ばないだけ?)。価格は、他のセコハンに比べて高い気もしますが、収益を上げる事が目的ではないため、市場価格(例えば、インターネットの格安価格)より明らかに割高なことを指摘されれば、その場で値下げされる事もあります。

 

 さらに、この店では、衣類だけではなく、本や食器、遊具など様々なジャンルのものが売られているので、ちょっと質の良い「のみの市」感覚で掘り出し物を探す事ができます。

 

 

 

 このお店以外にも、衣類や靴に関しては、回収し、リサイクルや寄付に回すためのコンテナが街に設置されていますし、衣類等の回収・リサイクルはかなり活発に感じられます。ペットボトルや瓶、紙などの回収・リサイクルに関しては、ドイツと日本は“どっこい”な感がありますが、衣類などに関しては、相当な開きがあるでしょう。

 

 日本では、着なくなった衣類をどうすればいいのか?捨てるには忍びないし・・とタンスに眠ったままになることがありました。自治体で回収してくれているのでしょうか?(こういう話は聞いた事がないので、こういう取り組みが存在したとしてもあまり一般的ではないのかもしれません)。寄付したい場合は、自力で行うか、ボランティア団体を探して委託するしか手はないのでしょうか?

 

 「個人所有した」「肌身に触れた」ことで、一度は「広く一般の商品」から「自分のもの」になってしまったモノを、「他人の手に渡す・渡る」ことが生理的に受け付けない(自分も気になるし、相手も嫌がるかもしれない、という懸念があるため)民族が、日本人なのかもしれません。「商品に“自分”という魂を吹き込み、大切にいつまでも所有する事で、その商品の価値を尊重する日本人」と「商品そのものを様々な場所、形で活用させ、商品の特性を長期にわたり発揮させることで、その商品に敬意を払うドイツ人」の違い(かなり独断と偏見)がこんなところにも垣間見えます。

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