恐怖のツーバイフォー住宅
今年、5月にツーバイフォー工法で建てられた家の修理にいった。雪で樋が落ちてしまったので、修繕してほしいとの依頼であった。現場を見に行って、本当に絶句してしまった。大工が建てた家で、こんな事が起こりうるのかと疑うぐらいぐらいショックだった。
この写真を見たらわかると思うが、樋というよりたる木の鼻隠しごと、引きちぎれている。釘が打ってなかったのではと思うぐらいだ。恐竜がくわえて、曳き毟ったような様である。原因を考えると、雪が降って半分解けて、屋根の雪がずり落ちて、軒先にぶら下がった。それが落ちてしまわないうちに夜が来て凍り付いた。そしてまた雪が降って、表面だけが解けて凍り付いた。その繰り返しで重みに耐えられなくなった。と言うことだろう。南側だけならわかるが、北側も同じ状態だったので欠陥と言わざるを得ない。
地元の大工なら絶対こんなやり方はしないと思う。大阪から来た雪の降らない町場の業者が、やったらしい。施主も都会から来た人なので、よくわからなかったのだろう。家の中にはいると、中は、多分にかび臭い、1年以上閉め切ってあったからだ。 畳をめくると案の定、一面カビだらけだった。家の中の空気が抜けない構造だからだ。壁にも床にもグラスウールが入っていて、一応高気密に成っているのだろう。
外部の板が一部腐っていたので、張り替えることとなり、はがしてみた。また驚いた。ツーバイフォーなので、木枠を組んで、合板を張り合わせてあるのだが、その合板が指で破れる。破った後、その中に木枠がない。いや元々あったのだが、蒸れて、腐って、膨張して、乾いて縮んで、崩れ落ちたのだ。シロアリ被害で見たことはあるが、蒸れ腐れというのは初めてみた。
柱を立てて、直そうとしたが、屋根を支える横架材がないので困難を極めた。いかにツーバイフォーが日本の風土に向いてないか実感させられた。とくに、構造材に使われるSPFと呼ばれる北米産のパイン材が最悪である。加工はしやすいが、冬目が柔らかすぎて、釘か効かない。湿気にめっぽう弱い。国産杉の専門家千里泰三氏は、「松(pain)は草だ」とおっしゃったが、その通りである。
日本のハウスメーカーでもツーバイフォーメーカーはたくさんあるが要注意である。くれぐれも蒸らさないように扱ってほしいものだ。
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