道具シリーズ「チョウナ」
チョウナという道具がある。電動工具がない時代この道具で、木の面を平らにしていた。うまく使うと、本当に上手に木が削れる。
今は、ほとんど角材で材料が調達されるため、滅多に使うことはないが、それでも、松材で屋根の丸太を刻むとき、時々お世話になっている。曲がったままの木を最小限の、手間と、欠損で平らにしたいとき、もっとも重宝する。
柄の先を持って鍬のように木を削っていく。この木の柄の曲がりが命である。この柄がなかなか見つからない。曲げて造るといってもまっすぐな木を曲げるのでなしに、生えているときから、曲げて育てるのである。2年ほど前、道具屋で注文したら、福井の方で見つかった。まだ造っておられる方が居たらしい。貴重である。
我が家には、今3本のチョウナがある。一本は、親父が使っていたモノ、もう一本は、親父の親方(京都在住、故人)3本目は、妻の叔父の遺品だ。この人は、義父の兄に当たり、大工修業年季明けで帰ってきたところへ、徴集礼状が来て、そのまま戦地にいって、南方でなくなった人だ。この道具を箱から出したとき、フラッシュバックが起きた。刃物を研いで、道具箱にしまったときの様子が思い浮かんだ。時代的に余りよい刃物とはいえないが、とても大事にしている。
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