古道具を直す
戦前使われていた道具を直した。錆びた鉄のかたまりだった物が、だんだん命を吹き返す。刃物に輝きが戻ってくる時、喜びがこみ上げてくる。カンナ台に仕込むと、かつて使っていた人の思いが伝わってくるような気がする。押さえのない一枚カンナなので、堅い木を削るのは無理かもしれない。杉の木を削ってみる。引く手が軽い。優しく切れる気がする。これが、甘切れというやつかもしれない。極上ではないが、使いやすい刃物ではある。大工作業というのは孤独な作業である。愛着のある道具を、近くに奥というのは心強い物だ。かつて活躍した道具のぬくもりが伝わってくる気がする。
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